神経内科の求める人材
神経内科医を目指す皆様へ
神経内科部長馬場 正之
青森県立中央病院神経内科は11名の専任医師を有する北日本有数の神経病センターです。しかし、県内各地区における神経疾患診療の充実は緊急の課題です。そんな中、この2年に5名の若者が研修医として私達の元で神経学の道を歩み始めたことは、我々にとってこの上ない喜びでした。昨年、一昨年と当科では米国留学、大学院や専門機関での研修、国内外の学会・論文発表など、ヴァラエティに富んだ研修実績が積み重ねられてきました。このHPの「研究日記」(ブログ)を覗いていただけば、ここでの私達の「神経学的生活」の一こまを垣間見ていただけるはずです。
歴史を紐解けば分かるように、実は、「神経内科」は「内科学」の狭い一分野ではありません。内科全領域、精神科、整形外科、脳外科、眼科、耳鼻科など、臨床全科に広がる広汎な神経現象を扱う科なのです。神経内科医の理想は「綜合神経科医」に他なりません。病因も多彩です。そこで県病神経内科では、脳血管障害、変性疾患、免疫性神経疾患、神経感染症、神経筋疾患、てんかん、神経生理、神経放射線、神経病理など、各分野に精通した専門医がおおまかなゾーンディフェンスを組んでいます。結果、ここでは脳血管障害や多数の神経難病を含むcommon neurological diseaseはもちろん、年間数百例を越す多彩な症例の検査・治療を通じて、思わず眼を見開く場面に毎日のように遭遇しています。神経現象の観察には宇宙の神秘を垣間見るような驚きがたくさんあって、臨床神経医とはそんな恍惚の体験をもとに新たな道を探る人種です。昨年度、ここでは半世紀以上前にLambert先生が暗いMayoの筋電図室で始めて見出した驚きの現象を研修医が続けざまに追体験しました。一瞬のWAXINGを始めて見出した瞬間の感動は一生忘れられないはずです。まさに鬼火を捉えた瞬間なのですから。感動のないところに進歩の芽はありません。難題山積の医療現場では解決困難な事態でもがくこともあるかもしれないけれど、先輩達と一緒に体験する驚きと感動の蓄積こそが人生の宝になるはずです。
具体性の無い美辞麗句は幻です。世界で問われるのは、「どう思うか」ではなく「何を見たか、何をしたか」という事実です。それぞれの患者の生きざまを脅かす神経疾患と真正面から対峙し、悩み、考え、動き、専門医として世界に羽ばたく、あるいは難病克服に向け研究や診療に邁進する世界基準の人材がここで沢山育つこと、それが小生の願いです。
青森県立中央病院
